数ある農業の中で"しいたけ栽培"を選んだ理由
数ある農業の中で"しいたけ栽培"を選んだ理由
こんにちは。
テンフィールズファクトリー(株)の代表をしております、市川です。
今日は、数ある農業の中でなぜ椎茸を選んだのかについて、お話させていただきたいと思います。
前回、今投資するなら農業だということで、動画を作らせてもらっております。
リンクを貼っておきますので、まだ観られてない方はそちらをご覧ください。
この質問、本当によくされます。
「何で椎茸なんですか?好きなんですか?」
って言われるんですけど、
逆にキクラゲとかどうですかとご提案頂いたりとか、レタスとかベビーリーフなんてどうでしょうっていう風に言われるんですけど、私たちはもう色々データを分析してですね、まず最初に始めるんだったらこれだということで椎茸を選ばせて頂いております。
なのでこの動画をご覧いただいた後には、農業始めるんだったら絶対椎茸だなっていう風に思っていただけるんじゃないかなと思います。
本記事のもくじ
①価格が安定している
1番目、価格が安定しているということです。
商売する上で凄く大事だと思うんですね。
どんどん値段が下がっていくってのは非常に避けたいことだと思いますし、見込んでいた売り上げと違っていたりとか、高かったり、安かったりしても困りますよね。
椎茸はこの点で一番優れた農作物になるんじゃないかなと思います。
理由はですね、ハウス栽培比率が非常に高いということなんです。
どれくらい高いかと言いますと、92%です。
ちなみに他の作物はこんな感じですね。
【ハウス栽培比率】
- イチゴ…86%
- トマト…84%
- 椎茸…92%
イチゴが86%と、トマトが84%ですね。
それ以上に高いのが椎茸なんですが、これ何故かと言いますと、ハウス栽培というよりは菌床栽培というものだからなんです。
菌床ってみなさんご存じですか?
菌床栽培が実は92%で、私も幼い頃におじいちゃんに原木にですね、「こまうち」って言って、菌を打ち込んだ記憶がありますけども、こういった形で栽培してるのが今8%しかないってことなんですね。
じゃあこの菌床栽培の比率、ハウス栽培の比率が高いとなんで価格が安定するんだってことなんですけども、よくニュースとかで、天候が良かったり悪かったりした時に、特に台風が来て雨が多かったりとか、天候が悪い時に価格が高騰してますとかもしくはたくさん取れたので豊作なので価格が落ちてますとか「今年は野菜安いですね」みたいなお話があると思うんですね。
しいたけはこれがないです。今年たくさん取れたねってことがないですね。
逆に今年あまり取れなかったねってこともないんですね。
供給が常に安定していますので、価格が安定しているっていうことなんですね。
これは商売する上では非常に大事なポイントですよね。
今年の売上予測生産量も読めるし、売上も読める、ということでそれがを成し得るのは実は92%が安定した生産を供給できる菌床栽培だっていうことが大きいということですね。
②価格が上昇傾向にある
2番目です、価格が上昇傾向にあるということ。
今後も下がることなく上がっていくであろうという市場であるということです。
これは何でなのかということなんですけども、私はテンフィールズファクトリーをやる前に、味の素に8年勤めていました。ですので、スーパーにも詳しいんですけれども、生鮮売り場で一番面積が大きいのって皆さん何かご存じですか?
1番目は、トマトなんです。2番目がきのこ類なんですね。結構大きい面積を占めています。
その中で椎茸のポジショニングというと実は今椎茸は高級品の扱いになっています。
手頃なお値段なものがしめじとか、エリンギとかああいったものが100円代で、椎茸が198円とか248円とか結構高い部類に入ってくるんじゃないかなと思います。
ではなぜかということなんですけども、これ一人当たりの年間の消費量っていうのは大体530gくらいで、毎年一定でそんなに多くなったり少なくなったりしてないんですけど、それを供給する農家さんの数がどんどん減っているんです。
どれぐらい減っているかと言いますと、こちらのグラフの通りですね。
【グラフ】
もう毎年減っていってますね。
この10年間でなんと46%と減っている。ということはですね、需要と供給のバランスが非常に崩れてしまっている、供給が追いついていないということが今の椎茸の市場になります。
理由は高齢化です。
なんでこうも高齢化が急激に進んでいるのかってことなんですけれども、実は、農業の中で真っ先に植物工場化されたのはこの椎茸の市場だと言っても過言じゃないと思います。
40年前に、菌床栽培というものがスタートしたんですね。
それまでは干し椎茸、原木栽培だと安定した供給ができませんので、季節もかたよってますのでそれを収穫して干して市場に出荷する、という流れだったんですけども、菌床栽培をすることによって年中安定した供給が生椎茸でできるようになりました。それで、生椎茸の市場が一気に膨れ上がったんですけれど、もうその時に多くの農家さんが参入したんですよね。
大体4,50年前にその方たちが今70歳代や80歳代になって、高齢化しているということなんです。
そして設備も老朽化して、後継ぎもいなくて、なかなか継いでくれないということで農家の数が減っているということなんですね。菌床栽培をしようと思うとやはり高額じゃないんですけども設備投資がどうしてもいるんですね。
他の農業であれば土物で耕すものに関しては、土地さえあれば気軽に始められるので、新しく入ってくる農家さんも少ないですし、今高齢化で少なくなっているという市場なんです。
ですので、価格が上昇傾向にあると、これは素晴らしいことですね。
③すでに大きな市場である
3つ目です。
すでに大きな市場であるということです。
年間800億円の市場なんですけれども、皆さんもいかがでしょう?この1ヶ月で椎茸を食べていないという風におっしゃってる方いらっしゃるでしょうか。(あの、しいたけ嫌いは置いといてくださいね。)
普通に今飲食店とか、料理を食べているときに、椎茸をこの1ヶ月間食べていないなんて方はいらっしゃいますか?
年間530g食べられてるんですけれども、もうすでにですね、椎茸というものはおそらく100人いたら100人知っている農作物で、しかもを必ず食べているものになりますよね。
あえて避けない限りは食べてらっしゃると思います。これはですね、実はビジネスをする上ですごく大事なポイントになるんです。
私もまあ起業して20年経ちましたけれども、やはり相談を受けることが多々あります。
その時に、市川さん今こういうものを今考えてるんだけれどもどう思います?っていう相談も受けるんですけども、多くの方が失敗するのはですね、この世の中にないものを作り出そうとするんですね。
これができるのは資金勅を持った人や会社じゃないと知らないものを広めるっていうのは非常に難しいんですね。今snsとかで拡散できるとは言いながらもやはり難しい市場です。
それよりも今ある市場の中で差別化した商品を出せたりとか、ちょっと変わったやり方をするであったりとか、差別化のできる市場として参入するのがいいと思います。やり易いということですね。
椎茸はまさにここの市場に入るんですけども、もう知ってもらう必要がありません。
冒頭にキクラゲどうですかってご提案を受けるって言ったと思うんですけど、どうでしょう?キクラゲをこの1ヶ月以内に食べたことある方はどれくらいいらっしゃるんですかね。
なかなか中華とか食べない限りでキクラゲを口にすることはないと思うんですね。
キクラゲはどれくらいの比率かと言いますと、椎茸の1.7%の生産量、ということはですね、私たちがちょっと作り始めると多分市場に影響を及ぼしてしまうぐらい作ってしまうんじゃないかなと思います。
なので、価格が落ちてくる。今は高いかもしれませんけれども、落ちてくるということなんですね。
椎茸とかもまだ人工栽培できないですけれども、もし人工栽培ができた時には間違いなく今の価格ではなくもっと低価格になっていくんじゃないかなと。そのときに果たして毎日皆さんが椎茸を食べるでしょうかということなんですね。
椎茸は、この辺が毎日も食べられる可能性がありますし、皆さんが知っているものなので、すでに大きな市場であるということが非常に大きな利点であるということです。
④競合が少なく、差別化しやすい
4番目ですね。
競合が少なく商品の差別化が非常にしやすいというのが椎茸だということです。
競合が少ないとの事なんですけれども、大体の椎茸農家さんは2万生産者。その中で、大規模農家さんという方達はどれぐらいいらっしゃるかってことなんですけど、2万個の菌床を使って生産される農家さんというのは、実は2019年度で725世帯しかないんですね。
750生産者しかいなくてですね、全体の27%しかないです。全体のというのは菌床栽培されてらっしゃる方のうち27%が2万個以上でやるということなんですけども、2万個って言われてもよくわからないですよね。
私たちのコンテナ40フィートを2つくっつけた物で、年間1万5千菌床使います。
私たちのコンテナ2つを使うと大規模農家になってしまうということなんですね。菌床栽培って簡単にできるので、そんなに設備が整ったところではなくでもできてしまう。空調設備が整ってなかったりとか、空調管理をしてなかったりとか、そういうところでも椎茸って実は簡単にできてしまうんですね。
私たちはおそらくハウス栽培でやられている以上の環境で椎茸を作ることに成功しました。品質の高い椎茸を作るというのは三つの条件があります。
温度管理・湿度管理・そして二酸化炭素の管理ですね。
椎茸って他の物と違って実は二酸化炭素を吸収するのではなく出すんですね。これの排気をしないといけないんですけど、このコントロールをコンテナでは非常に緻密にできます。非常に高い椎茸ができました。これ実際に今、三重県のいなべ市で作られているんです。けども非常に高評価でして、品質の高い椎茸ができてもっと作ってくれたらという風に言われております。
なかなかどうでしょう、あの大きな市場で後発でいくにあたって、差別化のできる商品作りができるもの、なかなかないと思うんですけども、これは可能だっていうことなら農家さんよりも環境の整ったところで作ることの方が品質の高い椎茸はできるということですね。
これが差別化できるというポイントですね。
そしてこんてな単位で作ることによって、実はですね、お客様のニーズに合った椎茸を作ることができるということです。どういうことかといいますと、例えばAスーパーっていう市川スーパーというものがあったとしますと、このスーパーさんはそんな量は出ないけれども、こういうちょっとね、うちのお客さんは大家族が多いエリアなので大きめの椎茸を欲しいというニーズがあったとします。それをコンテナ単位で私たちがコントロールして作ることができるということなんですね。
多くの農家さんがハウス栽培する上で結構大きめで作ってしまうので、そのハウス全体で同じような品質になってしまうんですけども、どうしてもたくさん販売したいので、同じ均一の商品を作ってしまうっていうことが起こり得るんですけど、私たちはコンテナごとに菌株を変えたり、出来上がる大きさであったりとか、品質を変えたりとかっていうことができるようになります。
色も変えることができるんですね。湿度が高いと黒い椎茸が出てきまして、湿度が低いと白い椎茸などコントロールし易いということですね。
後はですね、ここもポイントになってくると思うんですけども、やはり農業の世界においてはですね、競争って実はあんまりないんですね。ほかの市場だと結構競合との戦いってありますよね。
シェア争いだったりすると思うんですけども、農業の世界ではほとんど実はありません。これはメリットデメリットでもあると思うんですけども、やはりその大きな存在はJAさんだと思います。
JAさんは、農業にはなくてはならない存在なんですけど、もうJAさんに頼ることによって実はちょっと農家さんが弱ってしまう、それくらいJAさんは日本の農業になくてはならない存在です。
優・秀・良みたいに規格があるんです。
で、その規格大きさとか品質を保つことができると、基本的に農家さんの差別化なく同じ価格帯では流れていくってことなんです。逆に言えば、秀のサイズMとかLとかっていう風に作ることができると、それ以上の良いものを作っても高く買っていただける訳でもないですし安くなるわけでもない。農家によっての価格差がないことなんですね。逆に言えばですね、非常に品質の高い椎茸を作ることによって、非常に市場に求められるものを作ることができると。
私たちテンフィールズは他のいろんな市場を経験していますので、農業が主体ではありませんから、差別化した椎茸を作ることができるということです。
今実際にですね、チビキノコっていう名前で普通の大きさのできる前の本当にあのスーパーマリオのキノコみたいな小さなかわいい椎茸なんですけども、試験的に作らせていただいたら、それがですね、市場に好評で、実際に流れています。おそらく世の中には多分ないんじゃないかなと思いますけども、そういったものづくりをすることができたり、とかしております。
そしてはパッケージとかネーミングとかそういったものに変えることによって変わってくるっていうことですね。差別化が非常にし易い市場でちょっとアイデアをひねるだけで、高単価で流通に流れていったりとか、たくさんの量が出たりするというのが非常に面白いんじゃないかな、という風に私も感じています。
⑤多岐に渡る販売手法
5番目ですね、ここも椎茸の特徴なんじゃないかなと思うんですけども、出口戦略はたくさんある多岐に渡る販売方法があるということです。
干し椎茸ですね、干すと違う市場が出てくるんですけども、干し椎茸の市場があります。
実は干し椎茸の市場っていうのが、中国産が70%のシェアなんですね。国産は30%しかありません。
これなんでかって言いますと、干し椎茸に回すほど椎茸が無いんです。生椎茸は作れば売れるので一手間かける必要性がない市場になってしまっているので、輸入品の中国で干し椎茸が入ってきてシェアが70%までいっているということなんですね。
もともと椎茸って、日本の作物ですけれども、中国ももちろん椎茸の市場なんですけども、それが中国に輸入をされて干し椎茸ってなってるんですね。干し椎茸は生椎茸の3.5倍の値段が付きます。別の市場があるということがありますね。あと干し椎茸にするとどういうメリットがあるかっていうと、海外展開ができるんです。実はすでにですね、干し椎茸でもほぼ国産ではありません。
国産メイドインジャパンは世界流通していません。だって国内でも食べてないぐらいですから、世界に出せないですよね。ほとんどが中国産の干し椎茸が広がっていっいいます。
日本食がブームなんですが、ほとんどが干し椎茸で賄われていますし、例えばインドでは、非常に健康ブームでして、富裕層に干し椎茸は非常に高値で取引されております。
たくさん作ったとしても海外輸出ですね、私は海外事業部持ってますので、そういったとこに海外に流出したりとかというような展開が今後できるんじゃないかと思っております。
あと三つ目ですね、あの干し椎茸粉末にするとこれは私たちなりの考えなんですけども、健康食品として体にいいイメージがありませんでした。
実際に体にいいんですけども、干し椎茸にして気軽に摂れる食品、健康食品として提供できる可能性があるんじゃないかな、という風に考えております。
以上のですね、5つの理由によって私たちは椎茸に参入させていただきました。まとめますとですね、
1番目、価格が安定している、ということですね。
2番目、価格は上昇傾向にある、菌床栽培の比率が高いということで価格が安定しています。2番目の価格上昇というのは、非常に農家さんが減っているんだよ、ということで、今後も価格が上がっていく可能性があるんじゃないかなって。
3つ目は、既に大きな市場である、改めて椎茸を広めることは必要なく、すでに知られている。
4番目、競合が少なく差別化し易い市場である、差別化をやりやす農作物だということで、これから高付加価値をつけていける可能性が非常にありますよ、ということですね。
5番目、多岐にわたる販売方法があると、干し椎茸にして売ることや海外展開もすることができます。健康食品として販売することができますということで可能性がある。
最後にですね、出口戦略をしっかり考えて展開してますよということで、この市場はですね、これから10年も20年も30年もやっていける市場だと私たちは考えておりますので、安心して椎茸の市場に参入していただければと思います。
以上です、ありがとうございました。